最近、インターネットのニュースサイトやテレビなどで「FRB議長がテーパリングを示唆」なんて言葉を耳にすることがあると思います。
そこで今回はテーパリングとは何か?なぜ、テーパリングを行うことになったのか?また、投資を行う上でテーパリングに対し何か対策をしなければならないかなどについて簡単に解説していきたいと思います。
テーパリングとは?
テーパリングとは、「国の中央銀行が行う量的緩和の縮小のこと」を言います。中央銀行とは、日本においては「日本銀行」が該当します。アメリカでは「FRB(The Federal Reserve Boardの略)」がこれにあたります。紙幣の発行を行い、国債を大手銀行や地方銀行に売ったり買ったりしてお金の流通量をコントロールしています。
例えば、景気が悪い時、中央銀行は通常金融機関から国債を購入し、金融機関にお金を供給します。紙幣を得た金融機関はこのお金を会社や個人に利息を付けて貸すことにより利益を得ようとします。金融機関からお金を借りた会社や個人は設備投資や研究開発を進めて、より多くのお金が国内を流通するようになります。このように中央銀行が働きかけて国内のお金の流通量を増やすことを「量的緩和」と言います。
テーパリングは、市場経済が好景気に戻ってきた時、中央銀行から金融機関へ出すお金の量を段階的に減らして、景気を落ち着かせるために行われるものです。
FRBのテーパリングの経緯
昨年アメリカではコロナの影響により失業者の急増や株価の暴落がありました。そこでFRBは政策金利の引き下げを行い経済を刺激しました。下表はアメリカの政策金利の推移ですが、2016年から徐々に金利が上昇していたところ、2020年当初に金利が急落しているのがグラフ上からも読み取れるかと思います。2020年当初より毎月1,200億ドルもの金額を市場にばらまきました。
この量的緩和の結果、2020年当初5%程度であった失業率は15%ほどに上昇しましたが、2020年末には当初の5%程度まで回復をし、現在は5%程度の推移を保っている状態となっています。したがって、FRBはコロナ前の状態に戻ったと判断し、テーパリングを行うことを判断したということです。
テーパリングの影響とは?
一般的に「金利」が上がれば⤴「株価」は下がる⤵といった形で、金利と株価は逆の動きをすると言われます。
量的緩和により金利が下がっていたところに「テーパリング」を行うことにより、市場への資金供給が減ることにより金利が上昇していきます。これにより、企業や個人は資金の借り入れを減らして事業の拡大などを縮小していくので株価は下落する可能性が高まるということになります。
実際、アメリカの過去の株価の歴史において、FRBが2012年から行った量的緩和を縮小し、2014年の1月から10月にかけてテーパリングを行いましたが、この際、当時のFRB議長が2013年の事前にテーパリングを行うことを示唆しましたが、この発言により株価が大暴落しました。
しかし、長期的に見れば、その後のアメリカの代表的な株式市場はいずれも順調な上昇傾向を続けています。つまり、テーパリングにより一時的な株価の下落などの影響はあるかもしれませんが、長期的な視点で見れば下落がずっと続くわけではないことが言えます。
テーパリングへの備え(対策)
テーパリンは資産形成において資産額を増やしていくためのチャンスでもあります。以下の項目を参考に準備しておきましょう。
まとめ
テーパリングは、量的緩和により経済が回復傾向になったきたため、量的緩和の縮小を行うことなので悪いことではありません。テーパリングそのものは性質的に株価が必ず下がるわけではありませんが、金利の引き上げなどがあると株価はそれに応じて下がることが予期されます。
株式市場の株価変動に対して、3つの備えを行うことが資産形成上重要です。
- 市場の下落などの変化に動揺しない
- 買い増し銘柄の事前選定
- ポートフォリオの見直し
長期投資で資産形成を図るうえで、株式市場が下落に転ずる時期があるのは避けて通れません。市場の変動時に慌てずに如何にピンチをチャンスに変えていくかが重要です。
今回は以上になります。