先日投稿した記事でご紹介した高配当ETFについて、12月の配当金が支払われました。予期したとおりの配当状況とならなかったことから、投資の先読みの難しさを実感することができた一方で、おおかたの予想どおりに展開しない投資のおもしろさについても実感することができました。
今回は、2021年を締めくくる配当金の状況を踏まえてあらためて米国高配当ETFの最新の状況を踏まえてそのパフォーマンスについて解説していきたいと思います。
投資を始めることを検討している方向けに「高配当ETFとは何か」を解説した記事について、まだ読まれていない方は以下のリンクからアクセスし、確認してみてください。
![](https://himuka-tsukiyomi.com/wp-content/uploads/2021/12/2dc6ee6cd2dc2a0c630ec8c38bbac50e-160x90.jpg)
株価推移
まずは2021年の年間の株価推移について見ていきたいと思います。株価については、3つのETFとも年初来から順調に株価が上昇してきていることが下表から読み取れるかと思います。
特にSPYDは約27.7%の伸び率でした。HDVとVYMについても年初来から比較すると約15%、20%と伸びている状況でした。
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配当金の増配率
高配当ETFのメリットを比較する一番の要素は、やはり配当金の増配がどのくらいかという割合になろうかと思います。
2021年の単年で見ることも重要かもしれませんが、以前から解説しているとおり投資は長期間にわたり行うことを前提と考えると、設定来のパフォーマンスなどについても着目する必要があります。それを比較してみたのが下表になります。
2021年「SPYD」は9月までの配当金について順調に増配してきていましたが、12月の配当金でなんとマイナス78.9%とびっくりすつ減配が行われました。私も通年で増配だろうと期待して投資していましたが、まさかの通年でもマイナス5.0%の減配という結果で残念です。
「HDV」は3月から9月まで連続して減配でしたので、今回も減配かと思っていましたが見事挽回して増配となりました。しかし、通年ではマイナス1.8%という結果でした。
「VYM」は6月にマイナス10%程度の減配でしたが、12月は約16%の増配と通年では6.5%の増配と高配当ETFの期待に応えてくれる結果を出してくれています。
VYM | HDV | SPYD | |
12月増配率 | 15.9% | 13.9% | ー78.9% |
9月増配率 | 6.2% | ー10.2% | 46.6% |
6月増配率 | ー10.1% | ー7.9% | 9.0% |
3月増配率 | 18.4% | ー3.5% | 60.6% |
通年増配率 | 6.5% | ー1.8% | ー5.0% |
長期スパンで見た増配率については下表のとおりです。VYM,HDVは、3年以上の期間においてすべて増配の結果を出しています。特に「VYM」は連続増配「11年」という素晴らしいパフォーマンスを発揮しています。残念ながら一番歴史の浅い「SPYD」のみが3年来でー1.5%という減配の状況になっています。
VYM | HDV | SPYD | |
3年 | 5.3% | 4.3% | ー1.5% |
5年 | 7.0% | 5.4% | 0.46% |
10年 | 8.8% | 18.0% | ー |
連続増配 | 11年 | 0年 | 0年 |
配当金と株価のトータルリターン
さて、ここからは配当金と株価による利益つまり「トータルリターン」について2021年の単年と5年~設定来といった長期スパンの状況を確認していきたいと思います。状況は下表のとおりです。
トータルリターンは2021年の単年から設定来まで遡った長期的なスパンにおいて、すべての銘柄がプラスの成績を出している状況にあります。特に「VYM」の結果については、単年から長期的の両方のパターンにおいてプラス10%以上のリターンを出している状況で、優秀な銘柄であることは明らかであると考えます。
VYM | HDV | SPYD | |
1年 | 22.2% | 13.3% | 29.2% |
3年 | 10.7% | 4.7% | 6.7% |
5年 | 10.8% | 7.2% | 7.5% |
10年 | 12.6% | 9.6% | ー |
設定来 | 8.4%ka 2006年11月~ | 9.8% 2011年3月~ | 9.6% 2015年10月~ |
まとめ
米国高配当ETFの2021年の単年の短期間、設定来までの長期間の両方の視点からあらためて配当金、株価両面でのパフォーマンスについて確認しました。
正直、「SPYD」はまだ実績が短いため正確性は他の「VYM」、「HDV」に比較すると低いかもしれませんが、現時点での配当金によるパフォーマンスは低いと言わざるをえません。他方、株価については順調に伸びてきている状況にあります。現在、3つの高配当ETFの中では一番株単価が安いことから取得しやすい状況にあることから、しばらくは保持しておいてもう少し様子を見るのが得策だと感じています。
配当状況及び株価の両面において、短期的にも中長期的にも最もパフォーマンスを発揮しているのは「VYM」であることは一目瞭然です。やはり組み入れている銘柄数が400社以上と多く均等にリスク分散が利いているのでしょう。しかし、1株あたりの株価が「約110ドル」と3つのETFの中では最も高く買い増すにはある程度まとまった資金が必要になります。2022年はFRBのテーパリングの影響により株価が下がることも予期されていることから、株価が下がったタイミングで買い増し、しっかりガチホすることが当面の資産形成において賢い戦略であると考えます。
今回のデータを参考に株式投資の検討に役立ててもらえればうれしく思います。今回は以上です。