今回は、岸田首相が最近、経済に係る日本政府の方針として「資産所得倍増計画」と称して、これまで貯蓄を中心とした経済から投資へとシフトしていくと言って世間から注目されています。
また、近年、投資や副業などによって資産形成を図っていくことについて、かなり注目が集まってきている状況にもあります。
そこで今回は日本人の年収などの実態について確認し、解説していきたいと思います。
日本人の給与は上がっているのか?
そもそも所得倍増とか言っているけど、日本人の給与は上がっているのか?皆さん気になるところだと思います。
日本人の平均給与の実態
令和3年の民間給与実態統計調査では、民間給与所得者5,928万人中、男性の平均収入が540万円、女性が296万円、全体の平均が436万円といった状況です。下の図から全体の平均収入が10年前の平成22年から若干伸びて来ているものの、令和元年以降は対前年の伸び率が下がり続けていく状況が見て取れると思います。
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下の図から読み取れるように、実はこの20年、給与が大きく下落したのは、従業員数1,000人以上の大企業です。
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年齢別の平均給与の実態
下の企業規模別年齢別の平均給与の状況から、40代後半、50代とそれぞれ高い水準で給与が支払われている様子が分かります。
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また、下の図は全企業における男女年齢別平均賃金を年代別にまとめたグラフになります。2021年のグラフから19歳から30代前半までの平均賃金はどの年代よりも高い水準であります。
初任給が上がっていることにより、若い年代における平均賃金が上昇していると言えるかと思います。一方で30代後半以降は過去の平均賃金の方が高い水準になっていることが分かります。平均賃金のピークを迎える時期も40代後半から50代前半となっていますが、2021年では50代後半となっています。
自分が就職した際の50代くらいの先輩の給与を目標に頑張ってきたところ、まったく給与が伸びていないことから給与賃金に対する不満があるのは仕方ないことかもしれません。
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控除廃止や社会保険料の値上げによる追い打ち
給与収入の伸びが少ない実態にあることはよくご理解いただけたと思いますが、更なる追い打ちの事実があります。それが、①控除制度の見直しによる廃止や、②社会保険料の値上げにより収入が減少となっているということです。
ダイヤモンド社の記事によれば、控除の廃止や社会保険料の値上げにより、同じ年収700万円であったとすると、15年前の2002年では587万円の年収が、2017年では537万円まで減少している資産になるとのことです。
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給料が高い業種
平均給与がなかなか伸びない中、昨今では、終身雇用の崩壊により、転職による収入UPを目指すことも選択肢として出てくる時代となりました。
そんな中、どういった業種の年収がいくらくらいなのかというのが気になるところだと思います。
以下の民間給与実態統計調査から最も年収の高い業種は生活インフラの事業体で、次いで金融業、情報通信業といった実態となっています。他方、飲食サービス業やサービス業といった事業については平均年収300万円未満と厳しい実態となっています。業態によって年収に大きく差が生じているのが日本経済の実態です。
業種 | 平均年収(万円) |
生活インフラ | 824 |
金融・保険 | 627 |
情報通信 | 598 |
学術研究、教育 | 517 |
製造 | 513 |
建設 | 490 |
運送・郵便 | 435 |
不動産・物品賃貸 | 423 |
複合サービス事業 | 411 |
医療・福祉 | 400 |
卸売・小売 | 375 |
サービス | 359 |
農林水産・鉱業 | 296 |
宿泊・飲食サービス | 259 |
日本と諸外国との比較
これまでは日本国内の給与収入の実態について解説してきました。
さて、諸外国として日本人の給与収入の実態とはいかなる状況にあるのかについて見ていきたいと思います。
昇進と給与の比較
日本の企業等における昇進の実態について諸外国と比較している経済産業省がまとめたデータから、アメリカなどの先進国と比較して遅いばかりではなく、経済的に日本よりも劣るタイやインドなどと比較しても遅い状況にあることが実状です。
かつ昇進したとしても給料の上り幅が低い実態にあることは、昇進モチベーションに繋がらないことの致命的な原因であると言えるでしょう。
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日本の名目賃金と消費者物価
日本とアメリカ、ユーロ圏との名目賃金の状況についての比較です。
「名目賃金」とは「従業員が働いたことの対価として、その国の貨幣で支払われたもの」を指すものです。
下の内閣官房が調査した過去の結果から、日本の名目賃金は、欧米が増加を続ける一方で、低下の一途をたどっていることが一目瞭然であるかと思います。
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また、下図より、日本の給与の額面上の賃金についても下がっていますが、さらに消費者物価指数も下がっている状況にあります。加えて、実質GDPの成長率もまったくないつまり日本だけがまったく成長できていない状況にあります。
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インフレ・デフレを加味した実質給与の状況を比較した下図の状況から見ても、日本だけが低下している状況にあります。
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まとめ
日本の給与の実態について、国内から見た分析と国外との比較分析について解説してきました。今後、岸田政権の政策によって給与の増加について目標とした政策が為されることに期待したいところですが、1990年のバブル崩壊以降、30年間何も変わらなかった現状にあって、期待感は薄いのが現状だと思います。
そこで、国の政策に期待しつつも、個人として座して死を待つのではなく、投資を始めることによる資産管理のほか、副業などによる稼ぐ力を増加させていくことも益々求められるのではないでしょうか。
それぞれ過去のブログで紹介していますので、参考にしてください。
今回の解説については以上です。
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