「金」は、現在、ロシアのウクライナ侵攻などにより世界情勢の不安定化や、過去アメリカで発生した「リーマンショック」による世界的な経済恐慌に相場が強いこともあり、「安全資産」や「有事の金」などと言われ株式市場の暴落から守ってくれるとも言われています。今回は、そんな「ゴールド」への投資について解説していきたいと思います。
「ゴールド」資産の特性
「金」は紀元前5,000年ごろにアフリカ大陸にあるナイル川にて砂金として発見され、現在までに約183,600トンと言われています。ちなみに、今日現在の「金」の世界中における年間採掘量は約3,000トンだそうです。2019年時点での世界全体における「金」の埋蔵量は約50,000トンと言われていますので、年間採掘量から計算すると約10年で枯渇すると言われています。
したがって、「金(ゴールド)」の価のの値は極めて希少で価値の高い貴金属であることが分かります。このような性質を踏まえて以下のような特性があると考えられています。
- インフレに強い
- 有事に強い
- 価値がマイナスになることはない。
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インフレに強い
先進国の経済状態は、2022年現在金融緩和などの施策により紙幣が多く市場に出回っている状況にあると言えます。希少な物には高い値打ちが付きますが、紙幣が次々に増刷されることにより、紙幣の価値が徐々に下がっていく「インフレーション(インフレ)」という状態になっています。インフレが進行すると今まで1,000円で購入できたものが、2,000円支払わないと買えなくなるという状況になります。
「ゴールド」は流通量に制限がある希少な貴金属であることが認識されていることから、紙幣の価値が下がると相対的に「ゴールド」の価値は上がります。したがって、インフレに強いという性質を持っていると言えます。
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有事に強い
現在、ロシアのウクライナ侵攻による一部地域の紛争や、旧ソビエト連邦のアフガニスタンへの侵攻などの大規模な戦争などによるいわゆる「有事」と言われるトラブルにおいて「ゴールド」の価値は短期間で上昇したという実績を持っています。
また、「リーマンショック」や「ギリシャ危機」などの世界的な金融恐慌の際にも「ゴールド」の価値が短期間で上昇している実績もあります。
紙幣や株価の下がることを懸念した投資家が逆に希少価値の高い「ゴールド」に投資をしようと考えることから必然的に戦争、紛争、金融恐慌などの際に強いという性質を持つことになっていると言えます。
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価値がマイナスにならない。
「ゴールド」はその希少価値から価値がマイナスになることがないというのが大きな性質であると言えます。「紙幣」は国家が破綻した場合、単なる紙切れとなりますし、「株」や「債券」は会社が倒産すれば「紙幣」と同様に単なる紙切れとなります。
インフレにより、ジンバブエやベネゼエラにおいて日用品の購入に大量の紙幣を持ち歩く姿がありました。
「ゴールド」は、価格の多少の上下はあるにせよ、価値がまったくなくなるといったようなリスクは無いと言えます。
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「ゴールド」の投資法
今の情勢を考えていずれ「ゴールド」に投資してみたいと感じている方もいらっしゃると思います。
「ゴールド」への投資に以下の3つの種類があります。
- 地金(金、金貨)
- 純金積み立て
- ETF(ゴールド)
上記の1,2の投資には売買コストや保管コストがかかります。したがって、おすすめは私が勧めるのはETFです。
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地金(金、金貨)
1つめの地金とは、皆さんも時代劇などで見たことのあるいわゆる「金ののべ棒」や「金貨」を購入することです。サイズや重さにより価格が変わります。
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純金積み立て
月々数千円から金やプラチナ、銀を積立てできる投資方法です。楽天証券などでオンラインで取引できるので手軽にできる環境が整っています。
この投資では、自分の保有している金などの資産を売却して換金できることに加えて、地金や金貨として引き出すことも可能です。
ETF(ゴールド)
ゴールドETFでおすすめなのはステート・ストリート社が運営する「GLD」です。ETFは「Exchange Traded Funds」の略で、「上場投資信託」と呼ばれているものです。これ以外にもブラック・ロック社が運営する「IAU」や「GLD」と同じくステート・ストリート社が運営する「GLDM」という金ETFもあります。
「GLD」は、ETFの一番のメリットである配当金や利子がないという点で複利運用ができないという特徴があります。以前紹介した「SPYD」や「VYM」などの株式指数に連動するものは、保有している株式数に応じて配当金が年間4回ほど振り込まれます。自分がどちらに投資をするかはよく検討する必要があります。
「GLD」は、2004年11月以来アメリカにおける最初の金のETFで、総資産額は金のETFでは最も多く約7兆円で金現物に裏付けされた最初のETFです。総資産額に対する運用コストの割合である総経費率は「0.4%」と「VYM(0.06%)」や「SPYD(0.07%)」といったS&P500という株式指数に連動するETFに比較すると高い状態なので、運用コストは高いです。
2022年3月初旬現在単価は183.68ドルで、アメリカの「テーパリング」やロシアのウクライナ侵攻などの世界情勢の影響を受けて過去5年で見ても価格が上昇している状況にあります。
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まとめ
今回は「金」に係る性質や投資方法などについて解説しました。株式や債券とは違った性質をもっているため、分散投資を図るための選択肢にはなると思います。
手数料といった面から考慮すると、金に投資するのであれば私個人としては「ETF」をお勧めします。その中でもおすすめできるのが一番歴史と実績のある「GLD」です。
しかし、ドル建てでの投資となるため為替変動のリスクがあることと、株価などの調子が良いと20%~30%と大きく価格が変動するリスクもあります。
金に投資する性質やリスクを理解した上で、熟慮の上で分散投資先として選択するか否かを判断する必要がありますが、私個人としては現時点では「金」への投資は必要ないという考えです。
今回は以上となります。