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iDeCoによる老後資金準備の注意点

お金・投資

前回、分散投資によりリスクを少なくした投資のやり方があることについて解説しました。分散投資のなかでも、老後に備えた資金を準備するための投資にiDeCoという制度があります。2017年度に利用可能な範囲を増やした制度改正以来、当初約30万人しか加入していなかったわかですが、2021年9月現在で約210万人の人が加入している状況です。私も2018年度から始めましたが、公務員やサラリーマンにとってお勧めできる制度だと思います。
今回は、この制度により老後資金を準備するにあたり、注意する点等について解説したいと思います。

iDeCo(イデコ)とは

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、老後資金を自分で作る制度です。 確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度で、加入は任意です。現役時代に毎月一定の金額を積み立てて60歳になるまで運用し、原則60歳から取り崩して生活費にする仕組みです。

iDeCo制度のイメージ(iDeCo公式サイトより)

iDeCoのメリット

iDeCoには大きく以下のつのメリットがあります。主に節税のメリットが売りとなっています。

  1. 運用で得た収益が非課税である 
    運用益には約20%の税金が課税されますが、この税金が免除となります。
  2. 掛け金が全額所得控除となる
    →掛け金のすべてが所得税、住民税の課税が免除となります。
  3. 運用商品のコストが低い
    →一般的に取り扱われている投資信託の商品に比べて、投資の際に発生する運用会社や管理会社に対する報酬コストが低く、購入する際の手数料がかからないものもあります
  4. 運用商品が厳選されている
    →初心者にでも始めやすいように、通常の投資信託の商品の中から質が良いものが厳選されており、大きな損失を招く心配がありません。
  5. 受け取るときにも節税効果がある
    →60歳以降に運用した商品を受け取る際、一時的な形で受け取ることを選択すれば「退職所得控除」、毎月などの定期的な受け取りを選択すれば「公的年金控除」が受けられ、所得税が安くなる。

iDeCoのデメリット

メリットがあれば当然デメリットもあります。大きく4つのデメリットがあります。

  1. 元本割れのリスクがある
    →株や債券、リートといった種類に投資した場合、状況により元本割れする可能性があります。
  2. 原則60歳まで引き出せない
    →この制度は運用した資金を60歳以降の年金として活用することを目的としており、原則60歳まで引き出せません。また、途中解約もできません。
  3. 受け取り時に税金を取られる
    →受け取り時に節税効果はあるものの、税金を取られること自体はデメリット
  4. 手数料がかかる
    →口座の開設や管理に手数料がかかる。
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老後の資金運用に係るリスク

投資による資産を60歳以降受け取るにあたり、老後の資金運用で認識しておくべきリスクを解説します。

①長生きリスク

老後にまっさきに直面する課題がいつまで生きるのかが不透明だということです。
事前にいつまで生きるのかが分かれば、生存している間に必要な資金がいくらなのか資産できますが、なかなか難しいのが現実です。
一般的に以下の計算式で見積もることは可能です。
年金-生活費=不足額
不足額×生存年数=必要な老後資金

②思考力の低下リスク

老後に直面する2番目のリスクが思考力の低下に係るリスクです。
年齢を重ねるほどに思考力が低下することは自然の摂理です。
思考力が低下することにより、金融詐欺の罠になったり、複数ある金融口座の管理ができなくなったりする可能性があります。

③収益率の変動リスク

一定期間の平均収益率が同じでも元本となる資産の規模により、変動幅が変わるためリスクとして認識しておく必要があります。少し分かりにくい部分もあるので、一例を挙げて説明します。
例として、退職の時点で、約3,000万円の投資信託の資金を持っており、年間150万円ずつ取り崩していく運用を行ったとします。運用利回りにより、数年後に大きな差額となってきます。
下表の例においては、5年後の平均収益率は+10%で同じですが、資産残高としては300万円の差となります。退職直後の経済低迷等で運用利回りが低下することによるリスクは大きいと言えます。

ケース①による運用利回りケース②による運用利回り
1年目+20%-20%
2年目+15%-10%
3年目+5% +5%
4年目-10% +15%
5年目-20% +20%
平均+10% +10%
5年後の資産残高2,500万円2,200万円

老後資金を減らさない対処方法

上述の老後のリスクを考慮しつつ、老後の資金を減らさないために必要な方法にはいくつかありますので、その内容を解説します。

①運用しながら定率で取り崩す

老後にこれまで運用してきた資金を減らさないようにするため1つ目の方法は、資産運用をしながら定率で取り崩すことです。例えば、毎年保有している資産から5%ずつ取り崩していくとした場合、以下の通りになります。
定率で取り崩すことにより、株価が下がって資産額が減少することで、取り崩す金額も少なくなります。

①資産額が3,000万円の場合
 →150万円を取り崩す(3,000万円×5%=150万円)

②資産額が2,700万円の場合
 →135万円を取り崩す(2,700万円×5%=135万円)

②暴落に強いポートフォリオを形成

2つ目の対処法としては、市場が万が一暴落しても影響を受けにくいポートフォリオを形成することです。何も考えていなければ、コツコツ積み上げてきた資金も暴落が起きれば、一気に少なくなる可能性があります。
50歳を過ぎたあたりから、配分の変更や、スイッチングによる投資商品の変更などを行うことで対処が可能です。

配分変更とは?
毎月の掛け金で購入する運用商品の変更や配分の割合を変更することを言います。暴落リスクの高い株式からリスクの低い債券の割合を増やすなどが考えられます。
例えば、変更前、毎月3万円ずつ株式の商品を購入
変更後、債券2万円+株式1万円にしたり、もしくは債券3万円に変更する。

スイッチングとは?
積み立てた資産の商品構成を変更することを言います。
例として、50歳まではすべて株式の商品を購入。50歳以降は、これまで購入した株式商品をすべて売却して、すべて債券に変更する。

まとめ(出口戦略が重要)

今回はiDeCo制度に係るメリット、デメリットに加えて、老後にどんなリスクが存在するかについて解説しました。
特に3つのリスクのうち、収益率の変動のよる影響が一番大きいことが予期されることから、 ①運用しながら定率で取り崩すことと、 ②暴落に強いポートフォリオを形成することにより、老後資金を減らさない方法について解説しました。
iDeCoにより老後資金を準備するにあたっては、投資初心者でも比較的簡単でかつ手間のかからない方法で運用することができ、節税の各種メリットも大きいですが、老後に資金を受け取る前の出口戦略が重要であることが理解していただければ幸いです。

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